おばあちゃんのお葬式

気温が最高記録を毎日更新していた数年前の7月の終わりの事でした。

大正生まれで90歳を超える年齢だったおばあちゃんが、長い入院生活の末亡くなりました。入院といっても病気があるわけではなく、施設入所と体調確認の入院を交互に繰り返していた状況でした。

20年近く痴呆を患っていたおばあちゃんは、もう孫の私の顔や名前なんて分からない状態。
でも昔からの性格は変わらず、何かしてあげたり、ただ顔を見に行っただけでも「ありがとう」とうまく動かない口を動かして笑顔でお礼を言ってくれる、そんな優しくて穏やかな性格のおばあちゃんでした。

亡くなったのは早朝。
いつでも覚悟はしておくように、そうお医者さんに言われてから半年近くも頑張ってくれた頑張り屋さん。
緩やかに、穏やかに天に召されたと担当の看護師さんが教えてくれました。

夏場だった事もあり、お葬式は亡くなって3日後と予定を立てました。
生前良くしてくださった方達は顔が一度見たいと葬式前にも家に来てくれ、その様子におばあちゃんの人生が素敵なものであったと感じたものです。
そしていざお葬式。

長年付き合いのある和尚様が、ふと私たち家族に思い出したように話しかけて下さいました。
「そういえば、おじい様も同じ時期でしたね」
言われて気付きました。私は生まれて間もなかったのですが、30年以上前に亡くなったおじいちゃんが亡くなったのはおばあちゃんの命日からわずか3日後。
つまり、お葬式の日だったのです。

「長い間頑張ったね、迎えにきたよ。そう言ってますよ」
その和尚様の言葉で家族に涙と笑顔が両方溢れました。

偶然なのでしょうけど、空の上でおじいちゃんとおばあちゃんが笑って一緒にお茶でもしている様子が浮かんできて、悲しいはずのお葬式が柔らかな空気になりました。

当時は、いとこどうしみんなで喪中はがきの印刷費の安さを比べあって楽しんだりしてたのもひとつの思い出ですね。